【必見】Amazonで活用できるブランドマーケティングの基礎知識
こんにちは!
国内初のAmazon専門コンサルティング・運用代行サービスを展開しているアグザルファです!
アグザルファブログではAmazon専門コンサルタントがAmazon出品・販売に役立つ情報を毎週お届けしています。
Amazonの「ブランドに対する考え方」はここ数年で大きく変化していると言われており、実際にAmazon出品者の皆様も変化を実感する場面に遭遇したことがあるのではないでしょうか。
そこで、今回は「Amazonで活用できるブランドマーケティングの基礎知識」として、Amazonのブランドに対する考え方の概要を理解しながら、Amazonで活用できるブランドマーケティングについて解説していきます。
目次
Amazonの「ブランドに対する考え方」
近年、Amazonの「ブランドに対する考え方」が変化し、大きく2つにカテゴライズされます。
1つは「ブランドの保護」、もう1つは「ブランドの活用」です。
ブランド登録という機能も以前は申請すれば誰でも活用できました。しかし、現在では商標登録された名称でしか登録することが出来ませんし、出品の際にもブランドが保護されている商品の場合、出品申請が求められたり、メーカーとの正規の取引を証明する資料を求められることがあります。
登録されている商品の情報を修正する際、ブラウズノード等の特定の項目においては、ブランド所持者であることが求められるケースも増え、これらを総合してAmazonはブランドの信頼性の保護や非正規ブランド品の排除に熱心な姿勢であることがうかがえます。
同時に、アメリカのAmazon.comではブランドストアに対するフォロー機能が実装されており、検索結果画面上の安売りとレビューの競争からブランド単位でのLTVの向上に舵を切っています。当然、このフォロー機能もいずれAmazon.co.jpにも実装されるのではないかと予想しています。
また、ブランド指標がAmazon ads上で確認できるようになり、出品者へブランド関連情報の提供が始まったことから、いよいよ出品者自身によるブランドの活用を是とする環境づくりが整いつつあると言えます。
Amazonがこうしたブランド保護、ブランド活用に邁進する背景には、偽造品による問題やそれに伴うプラットフォーム全体の信頼性の失墜に対する危機感が透けて見えます。
動機が動機ですから、今後も急進的な変更が加えられてもおかしくありません。そうなるとAmazonというジャングルにもようやく秩序が生まれ、パスポートを持たない者には生きづらい環境になります。ここで言うパスポートとはブランド登録ですから、今のうちから商標登録やブランド登録を進めておくのが吉かもしれません。
こうした背景や変化を少しでも理解することで、Amazonにおいても自社が保有するブランドを保護すると同時に活用していく「ブランドマーケティング(ブランディング)」が重要な対策・施策になっています。
本記事では「活用」の視点で、Amazonで活用できるブランドマーケティングの解説をしてまいります。また、Amazonで活用できるブランドマーケティングの基礎知識の解説に進む前に、「ブランド」とは何か、「ブランドマーケティング」の基本的な考え方についても簡単に触れておきます。
「ブランド」とは何か
無形資産「ブランド・エクイティ」
浸透しているブランドのイメージは人によって異なります。それは元々ブランドが持つ機能である「識別する機能」から、現在にかけてブランドの持つ機能が幅広く拡張しているからです。
▼ブランドの有する機能
・個体の識別
・製品の品質の保証
・製品の特性や傾向
・製品の信頼性
・企業/事業の思想
・企業/事業の歴史
…etc
これらを総称して「ブランドエクイティ(ブランド資産)」と言います。
「このブランド・エクイティを会社がきちんと管理しよう」というのが、ブランドマーケティングの基本思想なのです。
「ブランド」は何処にある?
ブランド(ブランド・エクイティ)を管理しようと思ったとき、「自社内にブランドがいくつ存在するか。何処に存在するか。」という課題にぶつかります。
企業におけるブランドの体系は、以下のように表されますが、企業によってどのレイヤーをブランドとして意識するかという方針は異なるという点を覚えていてください。
「ブランドマーケティング」の基本的な考え方
「ブランド・アイデンティティ(BI)」
「ブランド・エクイティ(ブランド資産)を会社がきちんと管理しよう」というのが、ブランドマーケティングの基本思想であることは先述の通りですが、ブランド・エクイティを管理する上で指針となるのが、「ブランド・アイデンティティ(BI)」です。
ブランド・アイデンティティとは「送り手である企業側の意図であり、そのブランドから連想してほしいと願うもの」であり、平易に表現するのであれば、「消費者からブランドをどう見られたいか?」を説明したものです。(記載されている定義はデイビッド・アーカー氏による)
図式化すると以下の様に整理されます。
ブランドイメージをBIに近づけるために、以下の4つの要素に対してBIに基づいて一貫した運用を行うことがブランドマーケティングです。
BIに従属する4つの要素とは、「①製品 ②組織 ③人 ④シンボル」であり、会社の殆ど全てです。
つまり、BIを中心に会社を運用することがブランドマーケティングであると言い換えることが出来ます。
①「製品」としてのブランド
顧客は製品を通してブランドを実体験するので、製品分野や製品属性、品質、用途などはBIの重要な一部となります。
例えば、ダイソンの掃除機や扇風機は、サイクロンテクノロジーによる先進的でユニークな技術がそのブランドを感じさせる要素となっています。また、アップルは洗練されたデザイン性とユーザービリティの高さがブランドの源泉と言えます。
②「組織」としてのブランド
組織や価値観も、強いブランド・アイデンティティを作る要素となります。
例えば、スキンケア商品を提供するLUSHでは、「製品には自然原料だけを使用し、動物実験はしていないこと」を明確に打ち出していますが、このことはLUSHの商品を買う消費者がLUSHの思想や活動に賛同し参加している感覚をもつことにつながっています。
③「人」としてのブランド
消費者のパーソナリティもブランド・アイデンティティの源泉となります。例えば、ロレックスを身につけている人は、自分自身が高級感のある人格を備えているような気持ちになれるそうですが、これは、オーナーにとってロレックスは「上質な生活を好む」「洗練された人格」であることの表現と言えます。
こういった、「女性らしい」「かっこいい」「洗練されている」などブランドが連想させる人間的特性、つまりブランド・パーソナリティはブランドの個性を感じ取ってもらうために重要な要素となります。
④「シンボル」としてのブランド
ビジュアルイメージやメタファーなど、ブランドを表現するものはなんでもシンボルと言えます。
ナイキのロゴ「スウィッシュ」、ディズニーの「夢と魔法の国」というメタファー、アップルの創業者スティーブ・ジョブズなどすべてはシンボルです。
シンボルはブランドの象徴として、強いブランドを消費者にパワフルに伝える役割を持ちます。
ブランド戦略の概略的な位置付け
さて、ここまではブランドイメージをブランド・アイデンティティ(BI)に近づけるために必要とされる概念として、先のブランドマーケティングを紹介しました。
そして、そのブランドマーケティングの適用範囲として、先述の4つの要素「①製品 ②組織 ③人 ④シンボル」を挙げています。適用範囲内の4つ要素が実際の企業経営、ひいては事業活動の中でどのように接点を持ち機能するかという点は、企業の方針や事業の性質、業界の傾向によって異なるものの、一般化が可能な程度まで抽象化すると、以下の図「ブランド戦略の概略的な位置付け」の様なフローになります。
・ブランド戦略:消費者やステークホルダーにどのように認知されたいか、どんな印象を持たれるブランドに育てていきたいかを決定する(或は修正する)
・事業活動:ブランド戦略(BI)に則った事業活動をどのように展開するか
・顧客とのコニュニケーション:消費者にどのような購買体験を与えるか
・顧客満足:購買した商品に満足したか、あるいは不満足か
・ブランド資産の蓄積:一連の購買体験から生まれた印象をブランドという受け皿で蓄積する(先述したブランド体系によって、どのブランドに蓄積されるかが決まる)
本項のタイトルであるブランド戦略の位置付けは、上記フローの中では起点と修正点に位置します。感覚的に掴める部分ではあると思いますが、フローを構成するそれぞれの項目の抽象度が異なるという点には注意が必要です。言葉を換えれば、フローが進行するに従って、顧客と商品・サービスとの距離が近くなるということです。
抽象的 ⇦ ブランド戦略>事業活動>顧客とのコミュニケーション ⇨ 具体的
ブランド戦略のみが先行し、事業活動(商品・サービス)や顧客とのコミュニケーション(プロモーション・接客やサービス対応)が伴わない場合は、そもそもBIが認知されず、ブランド戦略と事業活動(商品・サービス)が先行し、顧客とのコミュニケーション(プロモーション・接客やサービス対応)が伴わない場合は、顧客は誤ったブランドイメージを抱く可能性があります。
つまり、ブランド戦略>事業活動>顧客とのコミュニケーションという企業側のブランドマーケティングのフローの中で、ブランド戦略やBIといった抽象的な概念を正確に具体化していく過程が必要になるということです。
以上の様な一連の企業側のブランドマーケティングの結果が顧客満足(ブランドイメージ)となって、顧客の中で形成されます。顧客一人ひとりが持つブランドイメージの集積をブランド資産の蓄積と呼び、蓄積されるブランドが、企業ブランドなのか、事業ブランドなのか、製品ブランドなのか、については前章「ブランド」は何処にある?で触れた通り、企業が設定するブランド体系ごとに異なります。
ブランド戦略が定まっており、事業活動や顧客とのコミュニケーションにおいて、4つの要素「①製品 ②組織 ③人 ④シンボル」を正確にBIに則して運用できている場合は、消費者の持つブランドイメージはBIに近づきますが、ブランドマーケティングの精度が低い場合には、消費者の持つブランドイメージはBIから離れていきます。
定期的に消費者の持つブランドイメージを観測・把握し、運用方法を修正することで精度を高めていくことがブランドマーケティングの基本姿勢となります。
「ブランドマーケティング」をAmazonで活用
これより、Amazonで活用できるブランドマーケティングの手法について解説してまいります。
まずは、大きなブランドマーケティングの流れの中で、Amazonがどのポイントに関与しているかを知っておくことが重要です。
ブランドマーケティングの中でAmazonと接点のあるポイントは以下の3点です。
・顧客とのコニュニケーション:消費者との接点の一つとしてAmazonを活用している場合、ストア、商品ページ、SD広告等で顧客とのコミュニケーションが可能
・顧客満足:不良品の排除、配送、トラブル時の対応がブランドイメージに対して影響を与える。Amazonにはレビュー機能があるため如実に表れる傾向
・ブランド資産の蓄積:商品のブランド名をブランド体系のどこに設定するかによって、ブランド資産が蓄積されるブランドに影響を与える可能性がある
Amazonというプラットフォームに限定した場合、それぞれの項目で”一定以上の品質をクリアすることでマイナスの印象にはならないもの”と”ブランド独自のBI(≒世界観、イメージ、ニュアンス)をテキストやヴィジュアルで表現しなければいけないもの”に分類できます。前者が「不良品の排除、配送、トラブル時の対応」、後者が「ストア、商品ページ、SD広告」という訳です。
前者については、Amazonでは実店舗のような顧客と商品、顧客と店舗、顧客と従業員間の接点が生まれないため、取り組みについても限定されている状態と言えます。対して、そうした実体験を伴う購買体験の補完の機能を有するのが、後者の「ストア、商品ページ、SD広告」と言え、Amazon内でのブランドマーケティングにおいては、それらのシーンでBIに基づいたアプローチを行っていく必要があります。
次項では、「ストア、商品ページ、SD広告」といったテキストやヴィジュアルを用いて、BIを訴求する上で有効な手法を紹介します。
「3つのベネフィット」を意識的に強調する
ブランド・アイデンティティ(BI)を構成する4つの要素「①製品 ②組織 ③人 ④シンボル」、それぞれのセクションにおいてブランドマーケティングを実行する上で、 消費者に対して正確にBIを伝える手法が必要になります。
その手法として、「3つのベネフィット」の視点を活用することが有効であると考えられています。
3つのベネフィットとはそれぞれ、機能的ベネフィット、情緒的ベネフィット、自己表現ベネフィットを指し、それぞれ以下の意味を持ちます。
①機能的ベネフィット
製品ブランドに紐づく。製品がもつ機能的な特徴となるため、真似されやすく、差別化は難しいことが多いものの、どのような製品でもベネフィットとして訴求することができる。アップルのAirPodsであれば、「ワイヤレスで高音質、ノイズキャンセリングがある」等を指します。
②情緒的ベネフィット
消費者が製品を買う時または使う時に抱かせる感情的な便益効果のことです。例えば、アップルのAirPodsの購買体験や使用を通じて、「スマートで洗練されている」と感じるような、情緒におけるポジティブな変化を指します。
③自己実現ベネフィット
消費者が商品を持つことで自己表現が可能になることを指します。情緒的ベネフィットと混同されがちですが、情緒的ベネフィットが単に「気分が良い」というだけであるのに対し、自己実現ベネフィットは「ブランドを所有することで、〇〇な自分になれる」と自己表現ができると思わせる点に違いがあります。アップルのAirPodsであれば、 「知的でハイセンスなアーリーアダプター」だと思わせるような心理的な作用を指します。
この「3つのベネフィット」を紹介しましたが、商品のアピールポイントを探し出すフレームワークとして活用することができます。3つの視点を用いて商品をより魅力的に(BIを正確に)訴求することで、売上拡大とブランド力強化につながります。
「3つのベネフィット」をテキストで訴求する
3つのベネフィットをテキストで訴求する際には、箇条書き部分や商品紹介コンテンツでの活用が有効となります。
以下の例のように、商品やブランドの持つベネフィットに根差したアピールポイントを引き出すことが大切です。
「3つのベネフィット」を画像や動画で訴求する
また、ストアや商品紹介コンテンツでは、テキストに加えてヴィジュアル(画像や動画)で訴求することもできます。そのブランドの魅力や思想を視覚的に伝えることで、消費者のブランド理解をより高めます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ブランド戦略の考え方を抑え、3つのベネフィットを活用することで、商品をより魅力的に訴求することが出来ます。商品の魅力を引き出し、売上拡大とブランド力の強化につなげていきましょう!
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『Amazon DSP』の活用で、Amazonサイト外部からも集客やブランディング戦略の実現を(2021年7月28日公開「ECのミカタ」)
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Amazon専門コンサルタントに学ぶ「Amazon戦略成功の裏側」(2020年11月18日公開「ECのミカタ」)
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